韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射したとして、防衛省は28日、哨戒機が駆逐艦を撮影した動画をホームページで公開した。一定時間、複数回照射されたとみられる場面や、駆逐艦に繰り返し意図を尋ねても応答がない内容を含む。防衛省には、照射を否定する韓国側の主張を退け、自衛隊の対応の正当性を周知する狙いがある。哨戒機の警戒監視中の動画を公開するのは極めて異例。韓国国防省は「深い憂慮と遺憾を表明する」との声明を出した。
防衛省によると、公開された動画は約13分。20日午後3時ごろ、石川県・能登半島沖の日本海で、駆逐艦がP1哨戒機に対し、武器使用の前提となる火器管制レーダーを照射した際のもので、通常の警戒監視のために撮影したという。約5キロと約8キロの距離から少なくとも2回、数分間にわたり照射されている。
レーダーの電波を音に変換してヘッドホンで聞いているP1哨戒機の乗員が「(電波を)出しています」と感知。「避けた方がいいですね」「めちゃくちゃすごい音(電波)だ」などの会話が録音されている。
動画では「砲はこちらを向いていない」「継続探知」と冷静に状況を分析しながら駆逐艦から離れる様子も分かる。P1哨戒機から3回にわたり、無線でレーダー照射を確認したとして駆逐艦に「目的は何か」と伝えたが、応答はなかった。
情報保全の観点から位置情報など一部音声が聞こえなくなる処理をしたが、画像は処理していない。同じ動画を28日午後、韓国側に提供した。
韓国側は、哨戒機が駆逐艦の上空へ低空飛行してきたため、レーダーに付属しているカメラを向けたが、照射した事実はないなどと反論し、双方の言い分が食い違っている。防衛省は、動画で哨戒機が駆逐艦と一定の高度と距離を保って適正に飛行していることも強調したい考えだ。
27日に日韓防衛当局が実務者協議を開催したが平行線に終わり、防衛省が公開に踏み切った。動画掲載ページのアドレスはhttp://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/28z.html。