沖縄県で昨年10月、地域のバスケットボール情報に特化した年4回の季刊誌「アウトナンバー」が創刊された。地域に根ざしたローカルメディアがはやる中、一つのスポーツに絞るのは珍しく、約20年にわたり夢を温めてきた代表の金谷康平さん(35)は「魅力を全国に発信したい」と意気込んでいる。
県出身のプロ選手へのインタビュー、高校バスケの決勝戦詳報…。300円で販売された12ページの創刊号は、沖縄バスケの情報がぎっしりだ。雑誌の名称は、バスケ用語で攻撃陣の数的優位を意味する。「速攻が特徴の沖縄のプレースタイルと合う」と考えた。編集長を別に据え、プロカメラマンやライターに依頼するなど誌面作りにこだわる。金谷さんは取材対象選びやコラムを受け持つ。
発刊の原点は、1997年12月に観戦した全国高校バスケの準々決勝。沖縄の公立チームが強豪に立ち向かって戦う姿が印象に残っている。
目を引いたのは個人技のレベルの高さだ。「どうしてこんなバスケができるんだろう」。この頃から雑誌化を考え、2015年に一念発起して脱サラ。東京から家族3人で那覇市に移住した。その後、出版社でノウハウを吸収し、昨年5月に本格始動した。
スローガンは「沖縄のバスケジャーナリズムを確立する」。沖縄バスケ史約65年の考察や、名将インタビューなど企画は尽きない。約3千部売れた創刊号の評判は上々で、1月中旬に発売予定の第2号は県内の取扱先が約40店舗に倍増した。「全国で暮らす県出身者やバスケファンに届けたい」。金谷さんの挑戦は始まったばかりだ。