辺野古米軍基地建設のための埋め立てを問う県民投票へ不参加を表明した沖縄市の桑江朝千夫市長は12日、市役所で記者会見し、県民投票を実施するよう求めた県の勧告を拒否したことを明らかにした。不参加の市が相次ぎ「県民投票と呼べる状態ではない」と指摘した。
市議会が県民投票の予算案を否決したことについて「大変重く、市議会の意思を尊重せざるを得ない」と改めて不参加を表明。県民投票の設問が米軍普天間飛行場の危険性除去に一切触れられておらず、二者択一の選択肢では多様な民意を推し量ることは難しいとした。
玉城デニー知事は11日、不参加の自治体が出た場合も投票日を延期しない考えを示した。桑江市長は県の対応について「強権的になっている」と批判。「県議会で改めて仕切り直すという思いきりの良さも必要ではないか。突っ走っているだけで、我々への配慮のかけらも感じられないのが、残念でならない」と真摯な対応を求めた。
県民投票を巡り、沖縄市のほか、宮古島市、宜野湾市、石垣市が不参加を表明している。また再議でも予算案を否決し、態度を保留しているうるま市を合わせると、県全体の約3割の有権者が参加しない可能性がある。
県は地方自治法に基づく勧告に応じない自治体に対し、来週にも是正要求する方針。桑江市長は「県は状況を一向に変えようとしない。強権的に市に迫ってくるのであれば、きょうと同じ表明をするしかない」と述べた。
市議会が予算案を否決し、態度を明らかにしていないうるま市の島袋俊夫市長は、近く実施の可否を判断する見通しだ。