韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日、ソウルの大統領府で行った年頭記者会見で、元徴用工訴訟を巡る日本との軋轢について「日本の政治指導者が政治的な争点とし、問題を拡散させているのは賢明ではないと考える」「日本政府はもう少し謙虚な立場を持たねばならない」と批判した。日本との間に慰安婦問題、自衛隊機への火器管制レーダー照射問題なども抱える中での無神経な発言である。対日関係の現状に対する危機感もなく、関係改善に対するやる気のなさを公言したに等しい。既に日韓の友好関係は形骸化しているのではないか。
菅義偉官房長官は11日の記者会見で「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり、極めて遺憾だ」と反発した。
自由と民主主義の価値観を共有するとされてきた韓国が急速に中国や北朝鮮に傾斜している現実は、深刻に受け止めなくてはならない。記者会見でも金正恩氏のソウル訪問に言及するなど、北朝鮮への親近感を隠さず、日本への無関心な態度とは対照的だった。
急進左派的な文政権の対日政策は政権発足前から危惧されてきたが、政府に対日関係改善への意欲すら感じられないという未曽有の状況は、日本側としても予想外ではなかったか。