「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」の賛否を問う県民投票条例が29日に改正される見通しとなったことを受け、石垣市の中山義隆市長は25日、県民投票の実施に向け、臨時議会を招集して投開票予算案を提案する考えを明らかにした。当初は実施を拒否していたが、取材に対し「県議会の与野党が、設問の選択肢を3択にすることで歩み寄ったことを評価したい」と方針転換の理由を説明した。市は今後、他の市町村と同じ2月24日に投開票する方向で事務的な調整を進める。
中山市長は29日に県議会が県民投票条例を改正したあと、30日から2月初めまでの間に臨時議会を招集する方針。投開票予算案は市議会で2度にわたり否決された経緯があるが、地方自治法に定められた原案執行権は行使せず、再度、市議会に最終的な判断を委ねる形になる。
市議会では与党から「条例が普天間飛行場の危険性除去に触れないままになっているなど、依然として問題が多い」と指摘する声が上がっており、自民党は臨時議会で予算案に反対するか、退席する可能性がある。しかし公明党が賛成に回ると見られることから、予算案は可決の公算。
市は予算案の可決後、2月24日の投開票に向け急ピッチで準備を進める考えで、現時点で投開票の延期は要望していない。
県民投票を公正公平に実施する観点から、中山市長はツイッターなどで、公職選挙法の規定を準用するよう求めてきた。報道陣に対し「(要望が)議論すらされていないのは残念」と述べた。
自民党県連の照屋守之会長は、与野党合意を受け入れた背景の一つに、県民投票を拒否した5市に抗議の電話やファックスが殺到したことや、県民投票条例制定を請求した団体の代表がハンストを行ったことを挙げた。この点について問われた中山市長は「県民投票に参加する理由は、県議会が設問の選択肢を3択にしたからだ。市役所への抗議やハンストで意思を変えたわけではない」と強調した。