介護士などの介護人材を確保しようと、石垣市が「石垣市介護職向け移住体験ツアー」事業を展開している。市内の高齢者施設は、八重山圏域の経済状況が就職希望者の売り手市場ということもあり人手不足。移住者を就職させることで、現状打破への活路を見出そうとしている。
■待機老人
同体験ツアーを受け入れた県社会福祉事業団・八重山厚生園では、特別養護老人ホーム、短期入所生活介護(ショートステイ)など5事業を展開している。
「求人募集をかけても来ない」。同園の古見嘉浩介護課長は現状をこう語る。
新聞やポスティング、ハローワーク募集を出しても希望者が少ないようで、直近3年間はこの状況。求人を出す事業所が多いことで、就職希望者の選択肢が増えていることも要因とみる。
18年12月現在、同園では特別養護老人ホームの利用を求める待機老人が232人。4月までに退職する介護士もいることから、「あと7人は必要」と話した。
介護士が減少傾向になった場合、国が定める利用者3人に付き介護士1人を配置する「3対1」の構図を維持できなくなることも想定。「ショートステイ人数制限も出てくると、利用者にも不利益となる」と危機感を示した。
■気になる給料面
「石垣市介護職向け移住体験ツアー」は、25日から2泊3日の日程でスタート。4人が参加した。初回は昨年12月14日に行われており、今回で2度目。
今回のツアーでは4法人6施設を見学する日程。このうち八重山厚生園で慶田盛誠施設長は、「人員不足が離島では厳しい状況。移住を決意してもらえたら」と英断を求めた。
埼玉県から来島した介護福祉士の金井美穂さん(49)は数年前に石垣島を訪れたことで、「石垣島は自分のテンポに合っていると思う。ゆったりして良いと」とツアー参加理由を述べた。
移住条件の一つは給料面。
「老後のことも考えたいので、生活してどれぐらいの収支になるのか。貯蓄できるのかも気になる」と胸中を語った。
石垣市から同事業を受託している一般社団法人・ゆんたくガーデンによると、初回も4人が移住体験。そのうち、移住を決意する人は2人誕生した。