1991年夏の甲子園で沖縄水産高校の元エースとして、2年連続の準優勝を果たした大野倫さん(45)が30日、浦添市のライオンの子保育園(末広尚希園長)を訪れ、園児30人と野球を通して交流した。大野さんはボールの投げ方を中心に野球の楽しさを教えた。
「投げるの上手になりたい人?」と大野さんが声を掛けると、園児らは「はーい!」と元気いっぱいに答えた。大野さんはボールの握り方や足の上げ方を分かりやすく丁寧に教えた。最初は上手く投げれなかった園児も、教えられた通り投げると、大野さんの構えるグローブまでボールまで投げるまで上達した。
最後は的当てゲームをして楽しんだ。大野さんから「ナイス!」「いいね!」などと声を掛けられると、園児らは自慢げな笑顔を見せた。
具志堅匡くん(5)は「楽しかった。投げるのが上手になった」と喜んだ。野球好きという泉川莉衣奈ちゃん(5)は「いつもお兄ちゃんとキャッチボールしてる。倫先生は身長が高くて、教えるのが上手だった」と話した。
同園の末広園長は、映画「沖縄を変えた男」の出演をきっかけに大野さんに依頼した。同映画は沖縄水産の名監督・栽弘義さんの野球にささげた生涯を実話に基にされた作品で、末広園長は医師役を演じた。末広園長は「スポーツは楽しく心を育てる。ライオンの子保育園の方針と合致する」と話した。
今回の交流は、減少する野球人口の底辺拡大が一つの目的で行われた。大野さんは「今は道端や広場などでキャッチボールする環境が減っている。環境がないなら私が作ってあげようと思った」と話す。大野さんはこれまで、那覇市の垣花小学校で同様の取り組みを行った。今後も依頼を受ければ、保育園や幼稚園、小学校などで無償で開催するという。