石垣市真栄里の旧石垣空港跡地に新築移転した県立八重山病院の隣接地への移転を市に要請している医療法人上善会かりゆし病院(橋本孝来院長)が大川の旧病院跡地を第二候補地として検討していることが分かった。
県は2019年度中に旧病院を更地にした後、県の出先機関や石垣市に対し、用地取得を打診することにしているが、その意思がなければ競売に付す考え。かりゆし病院は石垣市新川で1998(平成10)年10月、術後の治療ができる長期療養型病院として開院。病床数は110床あり、介護老人保健設やグループホームなど介護サービス関連事業も展開している。
敷地は借地しているが、事業の拡大などで手狭となり、増改築できるスペースがないという。このため、同院では2014(平成26)年に石垣市に対し、市の旧空港跡地利用計画に入れてもらい、国や県の土地を市が譲り受けたあと、払い下げてもらう方向で要請した経緯がある。
かりゆし病院の橋本院長は「現病院は築20年が経過し、老朽化が進んでいるうえ、病室の確保などの課題がある。旧空港の跡地利用計画が具体化するまで施設が持ちこたえられるどうか」と懸念を示したうえで、「まだ明言できないが、大川の旧病院跡地も候補地として検討している」と話した。
かりゆし病院の真栄里移転については今後、紆余曲折が予想される。仮に旧空港跡地の八重山病院の隣接地に移った場合、医療施設が東側に一極集中し、真喜良や双葉、新栄町、新川など西地区住民は取り残された形になる。このため、西地区住民からは今後、かりゆし病院の大川移転を望む声が高まりそうだ。
新栄町に住む仲田治子さん(82)は「医者にはあまり掛からないが、かりゆし病院が大川に来てくれたらとても助かる」と話す。
八重山の医療を考える郡民の会でも「かりゆし病院の移転先として大川の旧病院跡地がベストだと思う。支援していきたい」(大山剛事務局長)としている。
(写真・文 南風原英和)