石垣島平得大俣地区への陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例を市に直接請求した「石垣市住民投票を求める会」の金城龍太郎代表は7日、市議会での住民投票条例否決にかかわらず、住民投票の実現をなお模索する方針を示した。金城代表らメンバーがこの日、市議会の与野党と相次いで面会したあと、報道陣に明らかにした。金城代表らの動きに合わせ、野党からは、3月議会で住民投票条例の議員発議を検討するよう求める声が上がっている。ただ与党の反応は冷ややかで、住民投票が実現するめどは依然立っていない。
金城代表らはこの日、市役所で与野党の議員団と個別に面会し、住民投票条例案が否決された経緯などを確認した。面会は報道陣には非公開だった。
野党は6人が面会に応じた。金城代表によると、野党は住民投票条例案の採決を急いだ理由として、投開票日を①駐屯地建設工事の着工前②県民投票と同日③現在の高校3年生が投票可能な日―とする「3原則」があったと説明。「臨時議会で県民投票の予算が可決された流れで、住民投票条例も可決しやすいという認識だったが、与党との調整不足があった」と総括したという。
与党は7人が金城代表らと面会した。住民投票条例を否決した理由について「条例制定を直接請求した1万4千人の署名は重いが、市議選や市長選で民意は出ている」「審議の仕方に問題があり、住民投票の時機も逸している」などと指摘したという。
面会後、報道陣の取材に応じた金城代表は「有権者の3分の1の署名にもっと向き合ってほしい。署名した人たちの思いは残っている。住民投票の実現にはどうすればいいか、与野党双方と話し合いたい」と述べ、今後も住民投票の実現を目指して会活動を継続する方針を示した。
一方、野党はこの日、住民投票条例を議員発議する可能性について協議した。野党の1人は「住民投票を求める会の意思を確認し、3月議会で条例を提案することも検討する」と話した。
野党の動きに対し、与党の1人は「野党が否決された条例と同じ趣旨の条例をもう一度提案するつもりなら、与党としても同じ対応にならざるを得ないのではないか」と疑問視した。
金城代表は野党に対し「野党内に認識のずれがある。しっかり議論してほしい」と注文を付けている。