【金波銀波】太平洋戦争で沖縄は…
- 2018/1/9
- 金波銀波
太平洋戦争で沖縄は本土決戦の「捨て石にされた」という見方が支配的だが、それがいかに大きな誤解であるかが分かる。米公文書で、米軍が占領した沖縄を出撃拠点に日本本土を大規模攻撃していた実態が明らかになった。日本は沖縄を喪失した時点で、本土も守り切れなくなっていたわけで、本土と沖縄は文字通り運命共同体だった。「捨て石」どころではない◆沖縄を制する者は日本を制するという状況は、現在でも続いている。米軍は戦後一貫して沖縄駐留を続けているし、日本が米国に対し、頭が上がらない理由の一つがそれだろう◆中国は執拗に尖閣諸島を狙っているが、沖縄にくさびを打ち込めば、日本をけん制できると踏んでいるからに違いない◆政府が進める宮古、八重山への自衛隊配備計画も、そうした沖縄の地理的重要性を反映している。沖縄の運命が日本本土と分かちがたく結びついている以上、沖縄の「自己決定権」だけで物事は進められず、日本の将来も見据えた、より大きな視野が必要だ◆翁長雄志知事は「沖縄を平和の緩衝地帯に」とたびたび発言している。沖縄を非武装中立地帯にしようという構想だろうか。あまりに無邪気なのか、それとも底意があるのか。県民のトップとしては不用意な物言いというほかない。