ヒカンサクラはいまが開花のピーク。石垣市大川の石垣トヨさん(85)宅の庭でヒカンサクラが満開し、濃いピンク色の花が道行く人々の目を引いている。
1年前に亡くなった夫の安清さんの父が植えたもので、樹齢100年近い古木にもかかわらず、毎年見事な花を咲かせている。
高さ約4㍍。苔むした根元からは年輪を重ねた老木の風格が漂い、赤がわらの屋根がサクラの花を一層引き立てている。
「毎年、十六日祭のころに満開になるが今年はいつもより早い」と目を細めるトヨさん。
かつて、このサクラの下でむしろを敷き、市内の舞踊研究所の門下生らが舞いを披露しながら花見の宴(うたげ)を開いたというエピソードも。トヨさんは訪ねてくる人たちにそんな〝幸せザクラ〟の自慢話を披露している。
(写真・文 南風原英和)