【視点】陸自配備、万全の備えは政府の責務

 石垣市の中山義隆市長は「防衛省任せにはしない」と環境への影響を注視する姿勢を示した。市としても住民の意見を聞き、工事が無用な環境破壊につながらないよう配慮を求める必要がある。
 沖縄本島では米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設を巡って混乱が続いているが、石垣島にも辺野古移設に反対する勢力が入っている。だが米軍と自衛隊を同一視すべきではない。自衛隊は他国の軍隊ではなく、配備は「自国は自国で守る」という当然の決意の表れでもある。
 防衛省や石垣市が、陸自配備に反発する住民と膝を交えて話し合うのは大事だが、住民から「自衛隊を配備すると他国の標的となる」という「そもそも論」を持ち出されても、平行線をたどるだけだろう。八重山の島々は地理的に安全保障の要衝であり、有事ともなれば駐屯地の有無にかかわらず標的となる可能性がある。むしろ有事のリスクを下げるための陸自配備であることを強調したい。
 石垣島に配備される予定の部隊は、有事発生の際に初動を担当する警備部隊、八重山に侵攻する航空機や艦船を阻止する地対空誘導弾、地対艦誘導弾を運用する部隊で、人員規模は500~600人とされる。
 部隊は地震や津波、台風といった自然災害の救援にも当たる。八重山は過去に明和の大津波を経験し、台風常襲地帯であるだけに、部隊の常駐は住民にとっても心強いだろう。
 観光を中心に経済が好調な石垣市では、与那国町のように、自衛隊配備による経済効果にことさら大きな期待があるわけではない。だが隊員の地域活動や各種行事への参加は、島の活性化にとってプラスになるはずだ。
 駐屯地の建設で住民生活に何らかの支障が生じた場合に対応するため、防衛施設周辺対策事業が実施されている。市には事業導入の必要性も含め検討してほしい。

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