【視点】台湾総統の発言注視を

 台湾の蔡英文総統は2日、産経新聞のインタビューに答えた内容として「安保協力で対話のレベルを高めるべきだ」と日台政府間の安保対話を呼び掛けた。沖縄と台湾は文字通り「一衣帯水」の間柄であり、台湾情勢は沖縄の安保環境にも大きな影響を与える。県民としても蔡総統の発言を注視する必要がある。
 中国の習近平国家主席は1月、共産党独裁下で高度な自治を認める「一国二制度」による台湾統一を呼び掛けた。台湾統一に向け「武力放棄は約束しない」とも警告した。
 習氏の言動を念頭に、蔡総統はツイッターを日本語で更新し「台湾は近年、『特定の国』からの世論操作や偽情報攻撃を頻繁に受けていますが、どの国も次の攻撃対象になり得る」と指摘。「『一国二制度』を拒否し、民主的な生活を守ることは私たちにとって譲れない一線です。中国に誤解をさせてはいけません」と強調した。
 台湾が中国に吸収されれば、沖縄と海一つ隔てたわずかな距離に新たな軍事独裁国家が出現するのも同然の事態となる。県民にとって死活問題になりかねない。日本として、そのような統一が容認できないのは当然だ。
 八重山は台湾から最も近く、クルーズ船で年間8万人以上の観光客を受け入れている。中国政府の意向で観光客の来島が制限されたりする事態になれば、経済も無傷ではいられない。
 蔡総統は「台湾は中国が太平洋へ出入りする要衝であり、ハイテク産業の生産拠点が集まる場所です。台湾が存在しなくなったり、民主主義や自由を失うことがあれば、世界の産業がダメージを受けます」とも訴えた。

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