東村高江の米軍ヘリパッド移設工事を巡る損害賠償請求訴訟で県が敗訴したにもかかわらず、控訴を見送った故翁長雄志前知事の判断は違法だとして、県民の江崎孝氏らが起こした裁判の判決が15日、那覇地裁であった。剱持淳子裁判長は、原告の請求を棄却した。
2016年に行われた本島北部の高江ヘリパッド工事で、反対派の弁護士が検問を行なっていた県警に長時間足止めされ、県を提訴。県は30万円の遅延損害金の支払いを命じられた。
この裁判を巡り、原告は特段の事情がない限り、県は独立機関である県警や県公安委員会の意思決定を尊重すべきであったと主張。控訴を見送った翁長氏の判断や県の損害賠償金支出は違法だと訴えた。
判決では、県が控訴する場合、地方自治法によって県議会の議決が必要であると指摘。議案を提案する権限は知事にあり、知事の判断が、県警を所管する公安委員会の考えに沿わなくても、裁量権の濫用や逸脱にならないとした。仮に翁長氏が控訴を決めても、県議会の同意が得られたか定かではないとも指摘した。
江崎氏は判決後に県庁で会見し、控訴する考えを示した。