石橋医師との別れ惜しむ 島民の意識改革に尽力

石橋医師に感謝して、大勢の島民が見送りに集まった=竹富港

 竹富町立竹富診療所で4年間の任期を終えた石橋興介医師(39)がこのほど、大勢の島民に見送られながら島を離れた。今後は福岡県で実家の病院を継ぐ。後任医師は5月に岩手医科大学から赴任する。石橋医師もしばらくの間、引き継ぎのため定期的に応援に入る。
 石橋医師は2015年、医師が不在だった竹富診療所に赴任した。医療講話やウォーキング会など健康イベントを数多く開催するなど、島民からは「熱心なお医者さんが来てくれた」と歓迎された。特に島の現状を「竹富島クライシス」と呼び警鐘を鳴らしたことが、島民の健康意識を飛躍的に高めるきっかけになった。
 「医療資源が限られる離島では、予防医療が大事」が口ぐせ。石橋医師の行動力は行政をも動かし、診療所の医療機器も充実した。診療所と島民、町という三者一体の取り組みは各自治体のモデルケースとして評価され、沖縄県や厚生労働大臣からの表彰にもつながった。
 石橋医師は「皆さんに支えられて、あっという間の4年間だった。竹富島では病気だけではなく患者を見ることの大切さを学んだ。今後も何らかの形で竹富島の健康づくりに協力したい」と感謝した。
 船は汽笛を鳴らしながらゆっくりと離岸、海上には紙テープが舞った。「ありがとう」島民の感謝の声がこだました。石橋医師は目頭を押さえながら、遠ざかる竹富島をじっと見つめていた。
    (隅田賢通信員)

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