10日の普天間飛行場負担軽減推進会議で、玉城デニー知事は「普天間の運用停止は、辺野古の移設工事とは切り離した協議をすべきだ」と主張し、辺野古移設阻止に固執する姿勢に終始した。政府側は知事に対し、事実上の「ゼロ回答」で応じた。一方、辺野古移設も選択肢の一つとする松川正則宜野湾市長は、当初「5年以内」とされた普天間の運用停止期限について「2月で期限が過ぎたので、新たな期限の設定を目指して詰めてほしい」と求めた。
「辺野古移設のための埋め立てにも反対であるという県民投票の結果を踏まえ、しっかり政府にも申し上げている」
会議終了後、報道陣の取材に応じた玉城知事は、辺野古移設反対の姿勢を改めて強調した上で、普天間飛行場については「一日も早い危険性の除去に真摯に取り組んでほしい」と要望した。辺野古移設と普天間の危険除去を切り離した協議の場を設けるよう要求。3年ぶりとなる負担軽減推進会議の場でも、かたくなに「辺野古ノー」を最優先させたことをうかがわせた。
菅義偉官房長官は記者会見で、推進会議や政府・沖縄県協議会などの既存の枠組みを挙げ「これらの枠組みの中で意見交換をしながら、負担軽減に全力で取り組んでいきたい」と知事の要求をかわした。
辺野古移設を巡り、松川市長は「移設であれ、閉鎖であれ、それまでの間の危険性除去を訴え、発信をしていく、それに尽きる」と述べ、反対する知事とは距離を置いた。普天間飛行場の運用停止の新たな期限について「市民の不安を取り除くためにも、ぜひお願いしたい」、外来機の飛来常態化について「基地の構造上も騒音が非常に市民の負担になっている」と、具体的な基地負担軽減の実を上げるよう求めた。
新たな運用停止期限設定について、菅官房長官は記者会見で「国、沖縄県の双方が、移設完了までの間の普天間飛行場の危険性除去について、認識を共有できる環境を作っていくことが大事だ」と指摘。辺野古沿岸と同時期に県が埋め立て工事を許可した那覇空港第2滑走路整備が近く供用開始に至ることに触れ、移設に対する県の非協力が足かせになるとの見方を示唆した。
負担軽減に向けた突っ込んだ論議は作業部会に持ち越された。翁長雄志前県政時代だった2016年7月の前回推進会議とは異なり、今回は玉城氏と松川氏が県側の新たな代表となるなど、3年前とは状況が異なる。松川市長は「新たなスタートという形を取って、すぐ右から左ということではないのだろう」と理解を示した。