パーティで東日本大震災の被災地を地盤とする自民党議員の名前を出し「復興以上に大事」と発言した桜田義孝五輪相が、即日更迭された◆「忖度(そんたく)」発言で辞任した塚田一郎元国交副大臣と同様、人間性を疑われる発言で「なぜこんな人が大臣に抜擢されたのか」と思わざるを得ない。安倍晋三首相の任命責任が問われるのは当然だ◆だが、過去には沖縄の米軍基地問題を巡る発言で、特に失言したわけでもないのに厳しい批判にさらされた大臣がいる。2015年、島尻安伊子沖縄担当相(当時)は、普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志知事(当時)の姿勢が沖縄振興予算の確保に「全く影響がないわけではない」と述べた。基地と沖縄振興の「リンク」を認めたとして、基地反対派やメディアは「大臣の資質が疑われる」とバッシングした◆だが現在も、辺野古移設を巡る政府との対立は、沖縄振興に暗い影を及ぼしている。地元選出の沖縄担当相として「国とケンカしても予算は大丈夫ですよ」と嘘をつけば良かったのか。桜田氏や塚田氏の発言に比べれば失言ですらなく、基地反対派の批判は言いがかりでしかなかった◆基地反対派への「忖度」が要求される沖縄特殊の社会事情。そこにも、いい加減メスを入れるべきだろう。