2020年東京パラリンピック開幕まで13日で500日。さまざまなハンディをものともせず、肉体を極限まで酷使するアスリートたちの姿は、多くの人の心を打つ◆だが五輪同様、パラリンピックという栄光の舞台に立てるのは、才能に恵まれた一握りの人たちに過ぎない。ほとんどの障害者たちは、学校や職場などで、自分のできる役割を黙々とこなしながら、社会の一員として生きる道を模索している◆1月、八重山特別支援学校の卒業生などで組織する「ホルトの会」の成人式が石垣市のホテルで開かれ、同校の大田幸司校長があいさつに立った。「人間の究極の幸せは、人に愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。それを支えてくれたのは、近くにいる人たち」と説いた◆大田校長が挙げた「幸せ」の条件を満たすことは、健常者さえ楽ではない。障害者ともなれば、人一倍の努力が必要だ。その上で他人から存在を認められるようになれば、それこそ胸を張るに値する。だがそこで「私はすごい」と舞い上がるだけでなく、周囲の人への「感謝」を強調するところがみそだ◆表彰台の上に立てない人にも「幸せ」という金メダルのチャンスはある。与えられたフィールドで、それぞれの金メダルを目指したい。