辺野古移設の是非は、さまざまな米軍基地問題の中の一つでしかない。ましてや普天間飛行場が辺野古に移設されることで、沖縄の未来が従来とは全く変わったものになってしまうわけでもない。辺野古が沖縄全体を左右するかのような主張は幻想だ。
辺野古移設阻止を「県政運営の柱」と称した翁長雄志前知事のスタンスは、その意味でバランスを失したものだった。県民も同様にバランス感覚を失っていないか。
当選した屋良氏は基地問題に関する著書もあり、長年の取材活動を背景にした知識・見識が評価されている。ただ政治家は政策の実行こそが命だ。その意味で「米軍の運用を変えるだけで、辺野古の海を壊さなくても普天間は返還可能だ」という選挙期間中の屋良氏の発言は、やや県民の期待を煽り過ぎた感がある。ましてや国政では野党の立場であり、公約の実行は一層困難さを増す。待ち受けているのは、いばらの道だろう。
夏の参院選は、今選挙と同じ対決の構図が予想される。「辺野古」だけが争点化されてしまうと、自民党の勝ち目が薄いことが改めて立証された。自民、公明、維新の「保守中道勢力」は、厳しい戦いを覚悟せざるを得ない。