県指定天然記念物「アサヒナキマダラセセリ」を始め、天然記念物の不法採取などを未然に防ごうと、石垣市教育委員会文化財課(下地傑課長)と市民保健部環境課(前浜孝始課長)が合同で、於茂登岳登山道入り口にパトロール本部を設置し、4月下旬から6月初旬にかけて、登山客や通行人への文化財不法採取防止の呼び掛けやチラシ配り、嵩田林道・親水広場周辺の巡視活動を実施する。
文化財課によると、アサヒナキマダラセセリは石垣島では主に於茂登岳山頂付近に生息し、産卵期には麓(ふもと)一帯の嵩田農道周辺にも出没するという。
パトロールには市民ボランティアや文化財課と環境課職員、八重山警察署も協力。チラシには市自然環境保全条例に基づく「保全種」と「保護地区」への周知を促すものなどが配られる。
文化財課文化財係の石垣慶幸主事は「不法採取だけでなく、間違って採ってしまうケースもある。声かけを行い、石垣島の自然を楽しんでもらうためにも、多くの人が自然を守る気持ちを大事にしてもらえたら」と話した。
捕獲・殺傷・採取・損傷が禁止されている市指定の保全種は動物20種、植物83種。保全種を将来にわたり保護することが必要な地区である保護地区として於茂登岳周辺が指定されている。
アサヒナキマダラセセリは八重山諸島の石垣島、西表島に分布し、絶滅のおそれのある野生生物種のリストである環境省の「レッドリスト2019」の絶滅危惧Ⅱ類として記載されている。