【金波銀波】明治維新の元勲、大久保利通の…

 明治維新の元勲、大久保利通の言葉である。「過ぎたるは及ばざるに如かず」。やり過ぎてしまったら取り返しがつかないが、やらないうちなら、まだ熟慮の余地がある、とさとす◆就職、進学、進級の春を迎え、世には若者へのはなむけの言葉が氾濫している。筆者が若いころ、バイトの先輩に教えられたのは「やらずに後悔するより、やって後悔せよ」だった◆しかし、さまざまな人生経験を積んだ今になって振り返ると、これは全くの誤りだった。自分の能力を過信し、しなくてもいい失敗を重ね、人生の大事な時間を山ほど無駄にした。悔恨の思いは深い◆「失敗を恐れるな」という言葉は、一般論としてはその通りだが、これが当てはまるのは、人並み以上の才能や幸運に恵まれた人ではなかろうか。そういう人なら最初から成功の見込みは立っているし、未来を恐れる必要もない。大多数の人間に当てはまる言葉は、孫子の兵法も指摘するように「勝算がなければ勝負に出るな」ということに尽きると思う。失敗というのはたいてい、自分一人の問題にとどまらず、めぐりめぐって周囲に迷惑を掛けることもあるからだ。甘く見てはいけない◆老境に達した今、筆者が若い友人に真心を込めて贈る言葉は「失敗を恐れよ」である。

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