故翁長雄志前知事が2015年に国連人権理事会に出席した関係諸経費を公費から支出したのは違法として返還を求めた住民訴訟の控訴審判決が9日、福岡高等裁判所那覇支部で言い渡され、大久保正道裁判長は控訴を棄却した。
原告らは2017年に、県の公費支出は違法として住民監査請求を行ったが、請求期限が経過していたとして却下され、那覇地裁に住民訴訟を提起。地裁は2018年11月、同じ理由で訴えを棄却した。控訴審判決も第一審の判決を踏襲した。
判決後、原告らは県庁で記者会見し、最高裁に上告する方針を示した。
原告は裁判で、翁長氏の国連演説が公務か否かを争点化する方針だったが、一、二審とも訴えを門前払いした。住民監査請求の期限について原告側は、翁長氏の国連演説について産経新聞が報じた時点を基点にするよう求めている。
原告の1人である川満昇治氏と弁護士の徳永信一氏は会見で、翁長氏が国連で発言した内容は国外で「民族自決権」と訳されるため、国際社会では琉球民族が民族問題を提起したと誤認されると指摘した。
川満氏は「地方自治は、国連の場で解決するものではない。知事には発言権がない」と述べた。