石垣島への陸上自衛隊配備計画で「平得大俣地域への駐屯地配備に関する特別委員会」は14日、住民投票の必要性に関し、賛否双方の立場の参考人計6人を招致し、意見を聴取した。賛成の立場で意見を陳述した農業の川満起史さんは、特別委が参考人から住民投票を不要とする意見を聞くことについて「(住民投票を求める署名をした)1万4千人を侮辱するような行為だ」と糾弾した。
住民投票条例案が「議会で可決、否決という議論になることが、そもそも間違っている。住民投票に反対する意見を聞くことすら『ちょっと違う』と思う」と述べた。
理由は「主権者である市民から1万4千人以上の署名数があり、市長や議会の欠陥にノーを突きつけている状態」だから、と力説。住民投票を不要とする意見を公の場で述べるのであれば、住民投票を求める市民と同様に署名を集めるべき、と持論を展開した。
自営業の前原浩美さんは「住民投票に何の意味があるのか。自衛隊配備はもう着工している」と指摘。自らも住民投票を求める署名をしていたことを明かし「『自衛隊配備に賛成でも反対でもいいから署名してくれ』と言われ、何に使われるか分からないまま署名させられた。だまされた」と疑問視した。
尖閣諸島周辺で中国公船が領海侵入を繰り返している現状を挙げ「一市民として不安でならない。海上保安庁は24時間、命を張って待機し、その後ろでは海上自衛隊が守っている。備えあれば憂いなしだ」と自衛隊配備の必要性を訴えた。
住民投票を必要とする立場では、元市議の小底嗣洋さんが「市長選、市議選は人を選ぶ選挙であり(自衛隊配備について)民意を正確に反映するとは限らない」、医師の城所望さんが「住民投票で堂々と民意を表すべき」と強調した。
不要との立場では、元自衛官の中村安吉さんが「自衛隊は地域活性化、伝統継承にも地域と一緒になって参加する」と配備賛成を呼び掛けた。保育士の砂川なおみさんは、スーパーでたたみ掛けるように署名を求められたとして「集め方のプロセスに違和感がある」と批判した。
野党は参考人に対する質疑を求めたが、与党は参考人が委縮する可能性があるとして拒否した。野党の長浜信夫氏は「薄っぺらな議論になった」と委員会の進め方を問題視。与党の砥板芳行氏は「参考人には思いをしっかり述べてもらい、意義があった」と評価した。