回復者ら3人が訴え ハンセン病市民学会が総会

体験を語った(右から)、上野正子さん、宮良正吉会長、金城雅春会長=18日午後、石垣市民会館中ホール

 「闇ぬ世(ゆう)から太陽(てぃだ)ぬ世へ」をテーマに、「第15回ハンセン病市民学会総会・交流集会in八重山・宮古」の八重山集会が18日午後、石垣市民会館中ホールで開催された。八重山出身者のハンセン病回復者の3人が、約300人(主催者発表)を前に自身の体験を語り、根強く残るハンセン病問題に関する理解を深め、社会から差別や偏見をなくすよう訴えた。
 体験を話したのは、鹿児島県の国立療養所星塚敬愛園に80年近く入所している上野正子さん(92)、大阪で活動する関西退所者いちょうの会の宮良正吉会長(73)、沖縄愛楽園自治会の金城雅春会長(65)ら3人。八重山地域には療養所がないため、島外に出ざるを得なかった。
 上野さんは両親により結婚式が取りやめになったことなどを話し、「私は語り部として神様が生かしてくださったと思って、偏見・差別のない社会を願いながら100歳まで生きる」と強調。

 宮良会長は、「2001年の国家賠償訴訟の勝利により、病歴を隠して生きてきた私の過去を振り返ることができた。それで今、語り部として活動できている」と振り返り、「西洋のように、ハンセン病患者の症状に応じた医療が必要だった」と話した。
 金城会長は、八重山地区で必要なこととして、「正しい知識を身に着けることが一番。小中高校、老人クラブなど、機会を作ってもらえれば出向く」と提案した。
 八重山・宮古開催地実行委員会共同代表で郷土史家の大田静男氏は「啓発・啓蒙をしている側も言葉をかみ砕いて人に伝わるようなことをしないといけない」と呼びかけた。
 市民学会の遠藤隆久共同代表は「『八重山差別』という言葉もあった。ハンセン病の人を島社会がどう変貌して差別の社会になってしまったのかはまだ明らかではない」と課題を提示。
 玉城デニー知事のあいさつを謝花喜一郎副知事が代読し「回復者を講師とした講演会の開催などで正しい知識の普及・啓発に取り組む」、中山義隆石垣市長は「学校授業や市民の集まる場所で知識を伝える作業を積極的に取り組む」とそれぞれ述べた。
 総会は県内では2年連続3回目の開催で、八重山地域では初めて。19日、20日は宮古島市で総会やシンポジウムなどが開催される。

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