沖縄防衛局(田中利則局長)は3日、普天間飛行場代替施設建設事業の環境監視等委員会を那覇市内のホテルで開催した。県の許可を受けて現場海域から移植した国の絶滅危惧種のオキナワハマサンゴについて、幼生の放出などの再生産が確認されたことを明らかにした。
県は昨年7月に、埋め立て海域で見つかったオキナワハマサンゴ9群体について、防衛局が申請した移植のための特別採補を許可した。移植後のモニタリング調査で、1月下旬から6月にかけ、5群体から幼生の放出や、その兆候が見られた。移植されたサンゴの中には損傷や食痕などが確認された群体が6つあったが、この内、5群体で回復が確認された。
会合終了後、中村由行委員長は報道陣の取材に「科学的に新しい知見が出ている。学術的に良い結果だ」と評価した。
ウミガメの産卵場創出については、工事現場海域の北側にある辺野古弾薬庫付近の砂浜や、大浦湾の反対側にあるリゾート施設付近の砂浜などが候補地となっている。弾薬庫付近の砂浜では、4月に清掃活動が実施されたが、委員からは「定期的な漂着物の除去が必要」との意見があった。
ジュゴンの生息状況については、大浦湾北側の安部地区や嘉陽地区の沖で食跡が発見された。2007年から19年までのデータを総合すると、ジュゴン1頭は安部地区や嘉陽地区周辺で、別のジュゴン1頭は工事現場海域の反対側である本島北部西海岸周辺で生息が確認された。別のジュゴン1頭は移動範囲が広く、辺野古沖の洋上を周遊していることも確認された。
このうち本島北部西海岸周辺のジュゴンは、3月に西海岸の運天漁港で死骸が見つかった。辺野古移設の土砂を運搬する船舶や民間船の航行ルートを分析した結果、運搬船は陸地から10㌔以上離れて航行しており、問題ないとした。
同委員会の会合はこの日で20回目。