旧暦5月4日「ユッカヌヒー」の海神祭として、航海安全と豊漁を海神に感謝・祈願する「石垣市爬龍船競漕大会」(主催・同実行委員会)が6日、浜崎町の石垣漁港で開催された。海人を中心とした東一組、東二組、中・西合同(中一組・中二組・西組)の3組対抗で行われた本バーリーは、御願ハーリーと上がりハーリーを制した中・西合同が24点を獲得し、12連覇を果たした。「上がり」に出場した西組は、記録が分かる範囲での最速タイムとなる13分28秒25をたたき出した。
大会は午前8時から「舟揃え」で幕開け。競漕最後の上がりハーリーが終わった午後1時半頃には30度を超える真夏日となった。
大接戦となった本バーリーでは、「御願」は中一組が1秒22差で東一組を、「転覆」は東二組が零秒94差で東一組を下し、3チームが14点で並ぶ展開に。注目された「上がり」は、西組が1周目から抜きん出、2周目で更に他を引き離し、2位の東二組と29秒91の差をつけて総合優勝を決めた。
西組の1番エークを務めた名嘉貴也さん(24)=新川出身=は、県バーリーでも優勝経験をもつ実力者。「練習の時からタイムは出ていたので、本番で出せれば確実に勝てると思っていた」と自信を持って答えた。
西組は今回、名嘉さんの提案で短く漕ぐ操法に変え、成果を出していた。「1周目から全力。タイムも2秒縮められた。最後まで漕ぎ続ける西組らしさを発揮できた」と、満面の笑みを見せた。
職域や友人グループによる一般参加ハーリーでは、150組1500人が「熱競漕」を繰り広げ、各組女性部の創作舞踊と新川・八島・真喜良の3小学校生徒のアトラクションも観客を楽しませた。
開会式で上原亀一大会長は「今後とも豊穣(ほうじょう)の海へ感謝し、水産業の振興と海神祭、爬龍船競漕大会の継承に努める」とあいさつした。
同大会は明治初期に糸満地区から移民してきた漁業者が1906年に開催したのが始まりとされ、今年で113回目。司会を務めたハーリーに詳しい池田元さんによると、1905年の日露戦争の祝勝会のため県内数カ所でハーリーが行われ、その流れで八重山では翌年に開催されたという。
本バーリーの結果は次の通り。
▽御願=①中・西合同(中一組、14分06秒78)、②東一組(14分08秒00)、③東二組(14分25秒16)
▽転覆=①東二組(10分40秒62)、②東一組(10分41秒56)、③中・西合同(中二組、10分47秒53)
▽上がり=①中・西合同(西組、13分28秒25)、②東二組(13分58秒16)、③東一組(15分14秒60)