政府は11日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設で、これまで土砂運搬船の桟橋として使っていた埋め立て予定海域北側の「K9」護岸とは別の、南東にある「K8」護岸も利用して土砂の陸揚げを始めた。運び込む土砂の量を増やして工事を加速させる狙いだが、移設に反対する県は反発を強めた。
県は政府の対応を護岸の目的外使用だと批判しているが、岩屋毅防衛相は「具体的な陸揚げ場所は限定されているわけではなく、問題ない」としている。
玉城デニー知事は県庁で記者団に「暴挙以外の何物でもなく、許されない」と述べた。県は同日、新たな護岸からの陸揚げは環境への配慮を著しく欠いているなどと指摘し、停止を求める行政指導文書を防衛省沖縄防衛局に出した。
政府は、南側の護岸に囲まれたエリアのうち、約6・3ヘクタールの区域で、昨年12月から土砂投入を開始した。今年3月からは西隣の約33ヘクタールの区域にも投入を始めている。
埋め立て予定海域東側では軟弱地盤の存在が判明し、地盤改良の工事が必要となる。政府は年内にも設計変更の許可を県に申請する方針だが、玉城氏は認めない考えだ。
一方、玉城氏は11日、県民投票で示された辺野古移設反対の民意や、過重な米軍基地負担などを訴えて反対世論を喚起するための全国キャラバンを東京都内でスタートさせた。県が主催し、沖縄に米軍基地が集中する現状を訴え、課題解決の糸口としたい考えだ。