「無駄」と通り過ぎる人たち 家族の高齢化も進む 水居徹さん―「拉致考える集い」発言より

 〈石垣島の人に関心を持ってもらえてうれしい〉
 父が今生きていれば82歳。母は12年前に交通事故で亡くなった。
 一昨年、特定失踪者家族会ができ、幹事の一人になった。この家族会は59歳の私でも最年少なぐらい、高齢化が進んでいる。
 集会でこんなにたくさんの方に来ていただけるとは思わなかった。街頭などで署名活動をよく行うが、チラシを配りながら署名を求めると「もう終わったよ」「無駄だよ」と言いながら、チラシを丸めて捨てる人もいる。宮崎だけではない。悲しくなる。
 自分の好きな石垣の人がこんなに関心を持って来ていただけることは大変うれしい。

 〈集会のメリットは情報が集まること〉
 署名活動をしているとよく言われることがある。「(失踪者は)本当に北朝鮮にいるのか」―。
 私も正直、分からない。分からないが、私にとってはただ一つの望み。もしかしたらあっちにいて、ひょっこり出てくることもあり得る。
 父が失踪した87年、宮崎市で警察は、「怪しい人を見なかったか」「海辺で石をカチカチ鳴らし、訳の分からない言葉を話す」のような注意喚起のビラ配りをしていた。しかし今、警察は「余り覚えてない」と言い張っている。
 集会を行うメリットは「情報が集まる」こと。30年経っても再調査すると情報が出てくる。
 5年前に宮崎で個人的に再調査をした。青島沖1時間のところで出会った漁師さんと話し、現場に行って方向などを確認すると、当時とピッタリ一致する。
 元工作員の証言では、船のあるバルブを切ると、ひっくり返らずそのまま沈むという。これは父失踪時の目撃証言とも一致する。
 こういう目撃証言もある。沖合からすごいスピードを出し、方向転換して止まったある漁船があった。宮崎は船籍番号が「NZ」だが、その船は「ZN」と書かれており、乗船していた3人の男が、一人は目撃者を、一人は道路を、一人は海をにらんでいた。その時、海上保安庁の巡視船がゆっくり北上していたので、もしかしたら海保を回避したのではないか、という。
 当時はそういった船がうろうろしていた可能性があるわけだ。

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