舟はどうか。まずヒメガマという草を束ねた舟、次に竹のいかだを試したが速度が出ず、潮に流され失敗した。今回は石おので切り倒したスギの丸木舟を使う。5人乗りで長さ約7.5メートル、幅約70センチ。時速約4キロと黒潮に負けない速さも出た。
古代の航海術も模索した。当時の技術水準に合わせ、地図やコンパス、衛星利用測位システム(GPS)は使わず、風や星を手掛かりにする。伴走船は手助けせず、男女5人のこぎ手は交代で休みつつ夜も進み続ける。
海部さんは「当時の人は原始的だったと思いがちだが、困難な航海を乗り切る高い技術を持っていた。祖先の忘れられた歴史を掘り起こし、光を当てたい」と話した。