〝沖縄の台所〟としてにぎわう那覇市の観光名所「第一牧志公設市場」が、老朽化に伴う建て替えで閉鎖になり、市は16日、移転セレモニーを開いた。近くで7月から仮設店舗の営業が始まり、新市場は2022年4月に始動する予定。
第一市場の始まりは、沖縄での凄惨な地上戦を経て敗れた太平洋戦争の後、露天商が集まって開いた闇市。1950年に公設市場が誕生し、今の鉄筋コンクリート一部3階建ては、沖縄が米国の施政権下から本土に復帰して約5カ月後の72年10月にできた。
1、2階に鮮魚店や精肉店をはじめ、計100店超が所狭しと並んだ。場内では、食材を買って食堂に持ち込み調理を頼むことができた。
市は、同等の規模で新市場を整備。完成するまで、公設市場に属する店舗の一部は、100㍍程離れた「にぎわい広場」で来月1日からオープンする仮店舗で営業を続ける。
移転セレモニーには、市場関係者や観光客らも参加。仮市場のイメージパネルの除幕も行われた。セレモニー後は、旗頭が舞う中、集まった群衆がカチャーシーを踊り、新しい市場誕生に期待した。
城間幹子市長は「公設市場の発展は、先祖や今頑張っている方々のおかげ」と述べ、県民や観光客に新しい市場へ足を運んでほしいと呼びかけた。
公設市場の粟国智光組合長は「この市場が閉場するのは寂しいが、復帰50年の年に再出発する未来志向があれば、新市場に移行できる。愛される市場をつくっていきたい」と期待した。
店主の高齢化や後継者不足もあり、広場に移って商売を続ける店は8割ほどだという。