もう一つの課題は先島の陸上自衛隊配備だ。既に宮古島、与那国島では駐屯地が開設され、残るは石垣島だけになっている。ただ、根強い反対運動も続く。
配備の意義は何か。尖閣諸島への脅威に備えることは当然だが、何より「自国は自国で守る」という自衛隊の役割を象徴的に示すことができる。
八重山では戦時中、軍の指示でマラリア有病地帯に強制疎開させられた住民約3600人が死亡した「戦争マラリア」の悲劇があった。そのため戦後、自衛隊に対する反感が強かったが、尖閣諸島問題などを機に、ここ10年ほどで住民感情は大きく好転した。
八重山は津波の常襲地帯と言われていることから、東日本大震災の経験もあって、防災面でも自衛隊駐屯の必要性が叫ばれるようになった。石垣市も配備に協力する姿勢だ。
沖縄戦の教訓を生かし、平和で安全な沖縄をつくるためにも、自衛隊の早期配備を目指すことは当然である。
慰霊の日に県が主催する「沖縄全戦没者追悼式」は、本土と沖縄が心を一つにして戦没者の御霊を慰める式典だ。しかし翁長雄志前知事は、辺野古移設を巡って県が政府と対立するさまをアピールする劇場のようになってしまった。
玉城デニー知事には式典で辺野古反対などに言及せず、静かな環境で犠牲者を追悼してほしい。