県が子どもを取り巻く家庭環境や経済状況を把握しようと、今月まとめた2018年度県小中学生調査報告書からは、家庭の貧困が子どもの成長に悪影響を及ぼしている実態が浮かび上がった。経済の底上げを着実に進め、貧困に苦しむ子どもを一人でも多く救う施策を展開しなければ、沖縄に未来はない。
一家が自由に使える稼ぎである「等価可処分所得」が年間122万円を下回る困窮層の割合は25・0%。2015年度調査(29・9%)と比較すると改善した。しかし日本全体の困窮層の割合は約14%とされ、沖縄で貧困が深刻な問題であることに変わりはない。
玉城デニー知事は子育て家庭の生活実態は大変厳しい状況にある」と認め「誰一人取り残されることのない社会の実現を目指す」と強調した。有言実行の姿勢を示してほしい。
困窮層では、過去1年間に子どもを医療機関に受診させなかった保護者の割合は、小学1年、同5年、中学2年のいずれでも3割を超えた。非困窮層では2割程度にとどまっており、差が出たといえる。
受診させなかった理由は「医療機関での自己負担金を支払うことができなかった」が26・4%で、非困窮層の9・7%を大きく上回った。貧困が子どもの健康にも脅威を及ぼしていることを意味している。