八重山を訪れた観光客にスムーズな移動手段を提供しようと、石垣市、竹富町など官民7者が11月から2020年2月まで実証実験を実施する。観光客はスマホで購入できる電子チケットを利用し、離島船舶、バス、タクシーをキャッシュレスで乗り継ぎすることが可能になる。9日、実証実験に参加する関係機関・団体が石垣市役所で記者会見し、発表した。
事業名は「八重山諸島におけるMaaS(マース)実証実験」。国土交通省が公募した「新モビリティサービス推進事業」で、全国件のエントリーの中から選定された。選定件数は19件で、九州、沖縄からは唯一。
実証実験では、観光客がスマホで石垣市、竹富町の観光地を検索すると、船舶、バスなどのお勧めの移動手段や、観光施設、商業施設が表示される。利用者はパックツアーとして、すべての電子チケットを購入できる。
来島後、船舶やバスなどの待合室や商業施設などに設置されるスマートプレートにスマホをかざすと、電子チケットが表示され、現金を支払わずに決済が完了する。
実証実験を実施するため、関係機関・団体は「八重山マース事業連携体」を結成。
旅行商品の企画などを株式会社JTB沖縄、アプリ提供などを沖縄セルラーアグリ&マルシェ株式会社、キャッシュレス決済を琉球銀行、全体の取りまとめをTIS株式会社が担当し、地元の船舶3事業者、バス3事業者、タクシー5事業者に必要な機能を提供。地元からは八重山ビジターズビューローも参加する。
記者会見で中山義隆市長は「地域住民の利便性向上につながる『地域住民型マース』の実現も視野に取り組んでほしい」と期待。西大舛高旬町長は「交通手段の安定化は、島々の均衡ある発展に重要な施策だ」と強調した。
連携体代表でTISの中村清貴常務執行役員は「楽しく簡単、便利に使ってもらうサービスをユーザー目線で実現したい」と意気込んだ。