本土から遠く離れた沖縄でも、最先端の仕事や研究ができる時代が到来しようとしている。「人の価値は生まれた場所によって決まるものではない。いかに努力し自分を磨くかによって決まる」とは石垣市出身の元早稲田大総長、大濵信泉の名言だが、これからは「生まれた場所」を「住む場所」に言い換えてもさほど違和感はなさそうだ。
国際的な学術出版社として知られるシュプリンガー・ネイチャー社(英国)が、質の高い論文数で世界の研究機関をランキングする「ネイチャーインデックス」で、恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)が世界第10位にランクされた。
日本国内の研究機関では40位の東京大、59位の京都大、93位の名古屋大、99位の大阪大を大きく上回った。
OISTは5年一貫制の博士課程を置く大学院大学。教員と学生の半数以上を外国人とし、教育と研究はすべて英語で行う。2011年に設立された。
ピーター・グルース学長は「創設から間もない大学であっても、適切な条件がそろえば世界レベルの研究が可能だ」とコメントし、政府の強力な支援と、世界的な科学者たちの指導に感謝した。
工業や農業の強力な生産基盤を持つわけでもない沖縄では、人材が最大の資源と言われる。今回のランキングで、沖縄でも東京大や京都大を凌駕するような研究が十分に可能であることが分かった。OISTのような研究機関を通じ、地元も含めて国内外の優秀な人材を引き寄せれば、沖縄が知のメッカとして発展することも夢ではない。わざわざ東京や京都に行く必要はないのである。
沖縄は現在、児童生徒の学力が全国最下位レベルの汚名に甘んじているが、官民挙げて学力向上の気運を高め、積極的に日本一を目指してほしい。そんな勇気を与えられるニュースだ。