米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立てを巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消す裁決に石井啓一国土交通相が関与したのは違法だとして、国に裁決の取り消しを求め、福岡高裁那覇支部に提訴した玉城デニー知事は17日夕、県庁で記者会見した。玉城知事は「国交相の裁決は自作自演で結論ありきだ。公正さに欠ける」と強調。裁判所は地方自治の理念に照らし、「国と地方のあるべき姿を示す判断をしてほしい」と求めたが、「今後も対話によって解決策を求める」とも話し、政府との交渉の余地も残した。
国交相は4月5日付で、県が昨年行った移設工事の承認撤回を取り消した。県は県議会6月定例会の議決に従い、採決自体の違法性を争う抗告訴訟も提起する予定だ。訴訟提起の時期について、会見に同席した池田竹州知事公室長は「訴状の準備をしている。準備が整い次第、改めて案内する」と述べるにとどめた。
県は、採決に対する抗告訴訟について、司法判断は出ていないとし裁判の進展に自信を見せる。翁長前県政時の国との訴訟は和解しており、結論は出ていないと主張し、過去に県が敗訴し続けた裁判と類型が違うとしている。