参院選沖縄選挙区が21日投開票され、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する革新リベラル勢力が推す無所属新人、琉球大名誉教授の高良鉄美氏(65)が約29万票を獲得し、初当選を果たした。高良氏は憲法改正反対や消費増税反対も掲げ、自民公認の新人、前シンバホールディングス会長の安里繁信氏(49)=公明、維新推薦=に6万票以上の差をつけた。高良氏と連携する玉城デニー県政は、移設反対に向け改めて民意の後押しを得た形になり、国との対立はさらに先鋭化しそうだ。投票率は49%で、前回2016年参院選を5.46ポイント下回った。
高良氏は辺野古移設問題を政策の柱に据え「人権、民主主義、自治権の問題だ」と反対姿勢を強調。玉城知事や、前任者の糸数慶子参院議員の支援を得て革新支持層を手堅くまとめ、辺野古移設への反発が根強い無党派層も幅広く取り込んだ。昨年9月の知事選、今年4月の衆院補選から続く、有権者の「反辺野古」の流れに乗り、順調に得票を拡大した。
安里氏は公明、維新の支援を得て保守中道勢力を結集し、新たな沖縄振興計画の策定に向けた政府との対話を訴えた。
ただ知事選、衆院補選の連敗を受けて保守陣営の選挙ムードは序盤から低調。無党派層の支持も広がらず、劣勢を覆せなかった。
当日有権者数は116万3784人(男56万6935人、女59万6849人)だった。
■高良氏「民主主義疑われている」
那覇市にある高良鉄美氏の選対本部では、21日午後8時、NHKが全国で最も早い当確者として高良氏の名前を速報すると、大きな歓声に包まれた。報道陣に囲まれた高良氏は「沖縄の問題は日本の問題であることをしっかり国会の場で訴える。沖縄にはまだ憲法が適用されている実態がない。国会で大いに憲法の論議をしたい」と、憲法学者の横顔をのぞかせた。米軍普天間飛行場の辺野古移設阻止を訴え「辺野古移設を待つのではなく、普天間を閉鎖する。辺野古移設に使う金を普天間の跡地利用のために使うべきだ」と主張すると、支持者から「そうだ」という掛け声と大きな拍手が沸き起こった。