香港で活発化している中国への抗議デモは、中国本土ではどのように報じられているのか。国営テレビのニュース番組でアナウンサーは、デモ隊が過激化し、違法行為に及んでいると批判。中国政府の方針に沿い、デモ隊を「暴徒」と決めつける。デモで交通渋滞が起き、市民生活にも悪影響が出ているとして、デモ隊を非難する市民のインタビューを放送◆政府、メディアが共同でデモへの圧力を強める中国社会を見ていると、デモには今後、容赦ない弾圧が加えられるだろうと容易に予想がつく◆香港のデモと「似て非なる」ものが、米軍普天間飛行場の移設に反対する辺野古の抗議活動だ。座り込みで交通渋滞が起き、市民に迷惑が及び、過激な行為で逮捕者が出る状況は同じ◆だが反対派に対し、政府が「暴徒」と公言することはないし、主要メディアの報道では、むしろ反対派が英雄扱いされる。抗議の当事者たちが一所懸命なのは同じだが、権力や社会からの圧力の強さは、比べものにならない◆辺野古の反対派がいくら「沖縄には民主主義がない」と叫んでも、香港と辺野古の違いは、日本に厳然として民主主義が存在していることを示す。反対派が民主主義を引き合いに工事を糾弾するのは、そろそろ止めたほうがいいのではないか。