【視点】激動期に入った世界と日本

 日本では民主党政権時代、「東アジア共同体」構想が語られたことがあったが、現実の世界は共同体の構築ではなく、分裂や競争へと進んでいる。
 日韓の対立は、韓国が長く国是としてきた反日に根差しており、文在寅(ムン・ジェイン)政権が交代すれば解決する話とは思えない。日韓関係は今後とも対立をベースに推移するはずで、価値観を異にする国である中国や、北朝鮮に対する外交と同様の戦略が韓国に対しても必要となってくる。
 欧州各国の共同体である欧州連合(EU)では、離脱を巡って英国が混迷の度を深めている。10月末の離脱を求めるジョンソン首相と、離脱延期を求める勢力のせめぎ合いが続く。英国離脱の行方はEUの将来にも影響を与えそうだ。
 こうしてみると現在の世界で強く働いているのは求心力ではなく遠心力であり、今後、世界各地で、国益をむき出しにした戦いが激しさを増していくことが予想される。
 中国の台頭に象徴されるように、戦後日本が信奉してきた民主主義、自由主義、平和主義が、他国から公然と挑戦を受ける時代に突入した。
 今後とも外交の基軸に日米同盟を据えなくてはならないことは確かだ。しかし米国のみに依存し、正義や理想論を掲げて安閑としているだけでは沈没してしまう。国民にも沖縄県民にも、自力で荒波をかき分け、生き抜く覚悟が求められていると言えるだろう。

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