石垣市議会(平良秀之議長)は17日の9月定例会最終本会議で、陸上自衛隊配備問題を取り上げたNHKの情報番組「あさイチ」が「視聴者に誤解を与える内容を放送した」とする抗議決議を与党の賛成多数で可決した。市議会が報道機関への抗議決議を可決するのは異例。「『公共放送』を自認するNHKであればこそ、偏らず事実に基づいた公平・公正・中立な立場での報道が求められる」と主張した。野党は「報道への弾圧だ」などと反発した。
問題となったのは8月26日に放送された「あさイチ」。陸自配備予定地から約1・6㌔離れた於茂登の水源の映像を紹介し、テロップやナレーションで「配備予定地周辺地は水源地」「水道水の8割をまかなっている」と報じた。
抗議決議では「自衛隊施設が周辺地域の水源を汚染するとの誤った前提」「その水源の川は農業用の名蔵ダムの水源」と指摘。原因の検証や番組内での訂正などを求めた。提案者は与党の長山家康氏。
抗議決議のあて先はNHK、放送倫理番組向上機構(BPО)。
採決を前に野党の内原英聡氏は「一切の異論を許さない同調圧力を感じる。報道を弾圧し、委縮させ、市民の自由な言論活動を抑圧することはあってはならない」と反対討論。他の野党市議も「私たちが安易に抗議するのはどうか」(長浜信夫氏)、「決議するような事案は認められない」(花谷史郎氏)などと述べた。
与党からは友寄永三氏が「公平な報道とは言えない。もともと(配備反対を)予定していた偏向報道だ」と訴えた。
採決では与党11人が賛成、野党8人が反対し、一人が欠席した。
NHKの放送を巡っては、中山義隆市長が抗議決議に先立って直接、NHKに抗議しており、野党からは「市長と議会が癒着している」という批判も出た。抗議決議の可決後、長山氏は報道陣の取材に「議会は議会として行動しただけ。同じ課題で議会が意見を表明することは必要だ」と説明。「NHKは事実でない情報を流しており、市議会は市民の不安を払拭(ふっしょく)しないといけない」と強調した。