新工場建設「市が主体に」 石糖要望、市は慎重姿勢

石垣島製糖の定時株主総会が開かれた=18日午後、アートホテル石垣島

 石垣島製糖株式会社の松林豊社長は18日、市内ホテルで開かれた定時株主総会で、課題である新工場建設を巡り、市に事業主体となるよう求める考えを示した。ただ市が事業主体になった場合、農水省の補助事業を活用しても80億円以上の財政負担を求められる可能性があり、市は現時点で慎重な姿勢を示している。

 総会で松林社長は新工場建設計画に関する株主の質問に答え「工場の能力を上げるために新工場建設が必要だ。指定管理者制度を使って事業主体を市にお願いしたい」と説明。10月中旬ごろまでには工場の概要などを決め、市との調整に入りたい考えを示した。
 同社が要望するのは、市が新工場を整備し、同社が指定管理者として工場を運営する手法。
 同社は新工場建設の事業費総額を200~250億円と見込む。市農政経済課によると、新工場建設には農水省の産地パワーアップ事業による補助金活用が可能だが、補助率は60%が上限。事業主体は40%を負担する。この場合、制度上、県の負担割合がないため、財政負担を抑えるためには新たに県の補助金支出に向けた調整も必要になる。
 市議会9月定例会の一般質問で中山義隆市長は「市が事業主体となると負担の割合が非常に重くなってくるので、市民の理解を得ることが難しい」と述べ、現時点で石垣島製糖の要望には慎重に対応する姿勢を示した。
 一方で、新工場建設がサトウキビ以外の農作物や畜産業の活性化にも波及効果を及ぼす可能性に期待。「大きな仕組みを作った中での予算投入なら考えられる。その流れをつくるため積極的に取り組みたい」と強調した。
 同課によると、石垣島製糖が事業主体になった場合、市、県がそれぞれ10%を上限に補助することが可能なため、同社の負担割合は20%に抑えられるが、その場合でも負担額は40億円以上になると見られる。
 市は昨年、市、石糖と関係団体で組織する新製糖工場建設推進協議会を設置し、今後の要請行動を確認するとともに、作業部会で実務的な意見交換を進めている。

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