県立八重山病院(篠﨑裕子院長)は、10日、先天性脳性マヒによる足関節変形の改善を目的とした、軟部組織解離手術を同病院で初めて実施したと発表した。手術を受けた橋本佳奈穂さん(6)が20日、術後初めての診察を受け、順調な経過を確認した。
佳奈穂さんは先天性脳性マヒの影響で出生後、ひざから下が伸びきってしまう症状などがあり、装具での矯正やリハビリなどに取り組んでいたが、最終的に手術をするに至った。
八重山では2005年からこの症状での手術事例は5件あったが、いずれも南風原町の南部医療センター・こども医療センターで実施しており、患者や保護者の精神的、金銭的な負担が重い状態だった。
17年5月から琉球大学付属病院の小児整形外科医の神谷武志医師(44)が2カ月に1度、同病院で定期検診を行っており、今回は主治医や小児科の協力のもと、地元の八重山病院での手術が実現した。
手術は無事成功し、この日はギブスの型を取る作業が行われ、経過は順調だという。
神谷医師は「小児整形の体制が十分でないとなかなか手術はできない。整形外科と小児科との連携がうまくいった事例」と評価。「県全体で手術を受けられる体制ができれば」と期待を込めた。
佳奈穂さんの母親の靖子さん(43)は「共働きで沖縄本島に行くとなると、仕事のことや金銭的、精神的負担もあり、八重山病院で受けられるのは奇跡的。本当にありがたい」と話した。父親の誠一郎さん(47)は「飛行機に乗る際に呼吸器などの手続きなどの不便もある。相談を重ねながら、八重山病院がいろいろな要望やニーズをくみ取ってピースをあてはめてくれたおかげで手術が実現した」と感謝した。