【視点】相次ぐ台風 求められる防災意識

 10年以上経って、本土で似たような被害が繰り返されていることに悲しい思いを禁じ得ないが、沖縄もその後、被害の教訓をうまく生かせているだろうか。当時最も叫ばれたのは、電柱倒壊による停電被害を防ぐための電線類地中化推進だった。
 しかし市街地を見る限り、相変わらず電柱は林立しており、電柱類地中化が大きく進ちょくしている印象は受けない。莫大な事業費がネックになっているようだが、今では本土や沖縄本島の政治家の関心もさほど高くはないようだ。当時と同様の被害が繰り返されるリスクは相変わらずだと思わざるを得ない。
 台風の沖縄襲来は現在でも頻繁で、しかも勢力の大型化が進んでいるように見える。2015年に与那国島を襲った台風21号は最大瞬間風速81・1㍍に達し、家屋の損壊や浸水が相次ぐなど、石垣島での06年の被害の再来となった。近年の台風は想像もつかないような規模になっている。
 今月5日も台風13号が宮古島を直撃し、最大瞬間61・2㍍という猛烈な勢力で、農作物に2億円以上の被害が出たほか、公共施設の破損なども相次いだ。この台風は八重山を直撃する可能性があったが、わずかに進路をそれた。
 台風時の離島は本当や本土からの輸送手段が絶たれ、文字通り孤立化する地理的宿命がある。台風のたびに、大型スーパーも含め、各店舗では食料品などの棚がガラガラになってしまう。
 県民が常に留意しなくてはならない災害は台風、地震、津波であり、襲来の頻度は確かに台風が高いが、地震や津波もいつ発生するか分からず、どの災害のリスクが特に高いということはない。
 一人ひとりの防災意識を強化し、どのような状況下でも自分や家族の命を守ることを最優先に行動できるよう、準備を整えておくほかない。

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