【金波銀波】石垣島周辺の離島や多良間村…

 石垣島周辺の離島や多良間村で、現地の診療所では対応できない急患が発生した場合、石垣航空基地のヘリが石垣島に搬送し、市消防本部の救急車が八重山病院に運ぶ。ヘリの発着場となるのが真栄里のヘリポートだ◆八重山病院は目と鼻の先にあり、ヘリ到着後、直ちに急患を収容できる。ヘリは天候によって新空港を発着することもあるが、その場合は病院まで約15分を要するという。1分1秒を争う急患輸送で、ヘリポートが病院の近くにあるメリットは大きい◆しかしヘリポートがある旧空港跡地では石垣市の新庁舎建設など大規模な再開発が予定され、ヘリポートの利用継続は困難になる。離島住民は「せめて周辺でヘリポートを新築して」と求めるが、市によると適地がないという◆優先すべきは離島住民の安全安心か、石垣市の将来のまちづくりか。究極の選択が迫っているように見える。利害が対立する石垣市と周辺離島住民の調整役が必要だ。中山義隆市長は24日「県にも要請して検討したい」と話した◆基地問題ばかりクローズアップされるあおりで、近年、離島での県の存在感はとみに薄い。そこへ「兄貴分」として引っ張り出される形だ。「こんな時ばかり頼るなよ」と顔をしかめるか、それとも「俺の出番だ」と意気込むか。

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