時代錯誤の大国意識しか感じ取れない。中国の建国70年を記念する軍事パレードや祝賀行事が1日、北京の天安門広場で開かれ、米本土に届く新型大陸弾道弾ミサイル(ICBM)「東風41」などの最新兵器が初公開された。21世紀中には米国と並ぶ超大国として世界に存在感を発揮しようというのに、その手段といえば露骨な軍事力の誇示に過ぎない。中国共産党統治下の発展を大々的に宣伝して胸を張って見せても、国際社会の警戒感や失望感を誘うだけだろう。
軍事パレードや祝賀行事から強く印象付けられるのは、中国国内で習近平国家主席の個人崇拝が極端にエスカレートしている実態だ。かつての毛沢東やソ連のスターリンのように、パレードでは巨大な習主席の肖像画がうやうやしく掲げられた。世界第2位の経済大国が、まるで20世紀の冷戦時代に逆戻りしたような独裁国家の様相を呈している。背筋が寒くなる光景だ。
閲兵した習主席が「同志諸君、こんにちは」と声を掛けると、兵士たちは大声で「主席。こんにちは」と応答した。軍の最高司令官として習主席の個人的権威が高まっていることをビジュアルで示した。
演説で習主席は「いかなる勢力も偉大な祖国の地位を揺るがすことはできず、中国人民の前進への歩みを妨げることはできない」と演説。「中華民族の偉大な復興」を改めてスローガンに掲げ、香港の「一国二制度」堅持や台湾統一への意欲も強調した。
国際社会に向け高邁(こうまい)なメッセージを発するというより、対立する米国や国内向けに国威発揚を図っただけではないかと思われる内容だった。