離島の将来像について関係者が意見交換する「アイランダーサミット石垣」(主催・石垣市)は2日目の4日、フサキビーチリゾートで12の分科会を開き、国連が掲げる持続的な開発目標SDGs(エス・ディ・ジーズ)などをテーマに活発な論議を交わした。ビーチから眺望できる美しい海を背景に、参加者がテーブルを囲み、リラックスした雰囲気で進められた。
「SDGs行政ミッション」をテーマにした分科会では、国連世界観光機関(UNWTО)駐日事務所の鈴木宏子さんがSDGs達成に向けた取り組みを説明。「中国などと比較すると、日本は取り組みを世界に発信できていない」と苦言を呈した。
SDGsは17の目標から構成されており、このうち観光に関しては「持続可能な経済成長と人間らしい雇用の促進」「持続可能な消費と生産」「海洋資源の保全と持続可能な利用」などが関連してくる。
観光客数が許容限度を超える「オーバーツーリズム」について中山義隆市長は、島内に宿泊しないクルーズ船乗客を除き、石垣市の観光客受け入れ上限が150万人程度との見通しを示し「(上限に達していない)今だからこそ、量から質への転換を始めようとしている」と説明。司会を務めたサミット総合プロデューサーの渡邊賢一さんは「(市の取り組みは)立派なSDGsモデルとしてシェアできる」と評価した。
ただ、京都府与謝野町の山添藤真町長は「陸続きだと四方から人がアクセスするので、人の行動を制限するのは極めて難しい」と応じた。(有)スノーピーク地方創生コンサルの後藤健市さんは「量が多いことが悪いことではない」とした上で「地域の人が自分たちの島をどうするか、意識を持たないと持続可能な観光地にはならない」と指摘した。
愛媛県プロモーション戦略室の森俊人さんは、デジタルコンテンツを使った観光プロモーションの取り組みを紹介した。
他の分科会は人材育成や地域間連携、島の開発の在り方などをテーマに設定し、地元の高校生も参加した。
5日は午前8時半から伊野田海岸でビーチクリーンハワイ、11時から新栄公園で「アロハフェスティバル」、午後5時40分から旧離島桟橋で「地産地消交流会」などのイベントが開催される。