玉城デニー知事は4日、就任1年を迎え県庁で記者会見を開いた。在職中に死去した翁長雄志前知事から後継指名を受け、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設の阻止を掲げており「外交安全保障は国の専権事項といっても、地元の理解が得られないまま進める公共事業があって良いのか。翁長氏の言っていたように政治の怠慢だ」と政府を批判した。
会見では政府に対し「対話で互いが意見を一致させるのが民主主義の普遍的なスタイルだ。それを求めているだけであり、なぜ応じられないのか」と訴えた。基地問題について「国民の皆さんは、自分の事として考えてほしい」とも呼び掛けた。
普天間飛行場問題が解決していない理由として「20年以上前の計画である辺野古移設が唯一の解決策であると、政府が固執するのが問題だ」と強調。日米両政府に沖縄県を加えた協議体の設置を改めて求めた。
就任直後は翁長県政の継続に力を入れたとし「今年の4月から実質的な県政がスタートした」と述べた。基地問題の解決のため自治体外交を進めたとして「米国で講演し、ハワイや北京、ロシア、台湾を訪問した。文化や経済、学術の交流を進めることが大切だ」と強調した。離島も回り、県民生活を向上させる取り組みを進めると展望を示した。
自立型経済の構築については「アジアの成長を取り込み、県経済は企業収益が改善している」と指摘。2012年と16年の統計を比較し、県内総生産や県民1人あたりの所得が拡大していることを挙げた。
日本外交について「根底は地域間の交流や人と人とのつながり。信頼感の醸成が、日本の安全保障や経済につながる」と持論を展開した。
沖縄らしい持続可能な開発目標(SDGs)を進める考えを示し、子どもの貧困問題解決や中高生の通学費無料化にも意欲を見せた。
玉城氏は昨年8月の翁長氏死去を受けた翌9月の知事選に立候補し、初当選した。