【視点】知事就任1年、前県政の路線限界

 普天間飛行場の辺野古移設阻止を「県政の柱」に掲げた翁長雄志前知事の登場以来、八重山にとって何より大切な離島振興の問題は、県政の場で埋没してしまっている感が強い。米軍基地問題が県政の最重要課題であることは当然かもしれないが、知事が何をやっても結局は「辺野古」へと収斂(しゅうれん)される現状は、あまりにアンバランスだ。
 玉城デニー知事が就任1年を迎えた。4日の記者会見では「点数の評価は県民にお任せするしかない。この1年、走りながら考えている状態なので、自分で点数をつける状況には至っていない」と振り返った。
 前県政の路線を引き継ぎ、辺野古移設阻止を前面に打ち出しているが、工事が着々と進む中、有効な手立ては打ち出せていない。辺野古沿岸埋め立ての承認撤回を巡る訴訟を訴訟は2件起こした。しかし国との法廷闘争は前県政から続く政府との関係悪化に拍車を掛けている。基地問題も沖縄振興も、政府との連携には停滞感が漂う。
 知事は「国民に基地問題を自分事として考えてほしい」と強調する。全国キャラバンは、本土住民に直接、辺野古反対を訴えて世論を動かそうという試みだ。しかし官製の反基地集会を全国各地で開いているだけではないかとの批判も根強い。
 主要野党が辺野古反対を掲げた参院選で、辺野古推進の自公が勝利したことは、県政の発信力が本土に及んでいない現実を露呈した。会見でそのことを問われた知事は「できるだけ世論を味方につけるため、何を発信するかも大事だ。知事自ら、その姿勢を持っていることを県庁内でもしっかり受け止め、それぞれの仕事に専心してもらえれば」と述べた。
 辺野古移設に対しては「主権者の合意のない国の安全保障に関わることを、強引に国同士の合意だけで進められるのか。対話を大事にコンセンサスを得るのが民主主義だ」と改めて訴えた。

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