米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、県の埋め立て承認撤回を取り消す裁決に国土交通相が関与したのは違法だとして、県が国に裁決取り消しを求めた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)は23日、「訴訟の対象にならない」として、訴えを却下した。
玉城デニー知事の就任以降、辺野古移設に関連して起こした訴訟で初の判決。移設阻止を目指す県には痛手となった。
玉城氏は判決後、記者団に「判決は県の主張に正面から向き合わず、納得できない。内容を精査した上で上告について決定したい」と話した。
県は昨年8月、埋め立て予定海域に軟弱地盤が見つかったことなどを根拠に承認を撤回。防衛省沖縄防衛局が10月、行政不服審査法に基づく審査請求などを申し立て、石井啓一国交相(当時)が今年4月、撤回を取り消す裁決をした。
県は、沖縄防衛局と同じ国側の国交相が裁決をしたことを違法だと訴えたが、高裁は「同じ国の機関が審査することが直ちに違法にはならない。権限や立場の著しい乱用もない」と判断した。
また高裁は、沖縄防衛局の審査請求が私人を救済する行政不服審査制度の乱用だとする県の主張を「私人と同じ立場で埋め立て承認撤回を受けた」と退けた。国の主張を認め、県の訴えは不適法と結論付けた。
辺野古移設を巡る県と国の訴訟は過去に6件あり、判決に至った2件はいずれも県敗訴が確定。3件で和解、1件は県が訴えを取り下げている。
県は行政事件訴訟法に基づく裁決取り消しも求め、那覇地裁にも提訴。11月26日に第1回口頭弁論が開かれる。