玉城氏、敗訴で一層窮地に 県議選控え、強気崩せず 辺野古移設問題

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る福岡高裁那覇支部訴訟で、県の主張が退けられた。県は上告する構えだが、国の移設工事も止められない中で玉城デニー知事は一層の窮地に立たされた。ただ、来夏の県議選に向け求心力を保つ必要があり、移設阻止へ強気の姿勢を崩さない。

 県側は判決を「厳しい内容となることは織り込み済みだ」(玉城氏周辺)と冷静に受け止める。玉城氏も、対話の姿勢は維持しつつ「取れる手だてはしっかり講じたい」と記者団に強調した。ただ、立場は確実に厳しさを増す。
 玉城氏は、県発注業務の受託業者らと契約前日に会食していた問題が県議会で発覚し、県政野党会派から追及され謝罪に追い込まれた。辺野古反対を訴えるため訪れた米国でも、米政府関係者との面会で表立った成果は得られなかった。
 今後は、県による辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相裁決の適否などを争う別の訴訟の審理も始まる。県は訴訟と、埋め立て予定海域にある軟弱地盤を巡る設計変更を認めないことで、国に対抗する方針だ。その場合、国は違法確認訴訟を含む法的措置を検討する。
 県側は、これらの対抗手段が奏功しなければ「実質的な手だてはない」(幹部)としており、関係者は現実的な対応を検討する時期に来ていると指摘する。ただ、玉城氏にとって目下の懸案は県議選だ。辺野古に反対する県政与党「オール沖縄」の勢力が過半数を維持できなければ、任期を2年以上残して玉城県政が「レームダック(死に体)化」しかねない。
 県政与党幹部は「辺野古反対派の全面支援で知事になった手前、窮地となっても強気一辺倒で県議選に臨まないと、乗り切れない」と説明する。

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