石垣市主催の防災講演会が30日夜、市民会館中ホールで開かれ「全市民が防災プロフェッショナル~」と題し、一般社団法人大船渡津波伝承館長の齋藤賢治氏が講師を務めた。「自分たちの地域は自分たちで守る」心構えと津波などの自然災害に備えることの重要性を学んだ。
齋藤氏は「避難場所までどこに、どうやって何分かかるのか実証することが重要」と述べ、地震が起きたら▽津波が来る前に逃げる▽高台に避難▽決して戻らない―ことを呼び掛けた。
東北地方で2万2千人の犠牲者を出した1896年の大津波を教訓に「津波てんでんこ」という言葉があると紹介。「みんな逃げていることを信じ、自分も安全な所に逃げることが大事」と自助を訴えた。
東日本大震災で亡くなった人の被災場所は、自宅が44・9%、路上などが19・3%だった。死亡者の中には過去に津波が来たことがないという理由で危機的状況を認識できない「正常性バイアス」が働いた例もあった。「早い避難行動を取れば助かった命もあった。根拠のない大丈夫こそ危ない」と強調した。
講演では東日本大震災の生々しい様子が映し出されたビデオが上映され、すすり泣く参加者もいた。